帯域保証って何?

QOSの機能の一つに帯域保証がある。これはどうやっておこなわれるのだろうか。特定のユーザのトラフィックの通信を優先させるのだから、トラフィックの内容を区別する必要がある。区別する方法はパケットの特定のフィールドを見るなどするのであるがそれについては詳しくは述べない。肝心な事は、どうやって優先させるか、ということである。

一般の社会などで考えてみる。道路にバス優先道路というのがある。そこはバス以外の車が走ってはいけない、あるいは走ってもいいがバスが来たら譲らなければならない、というものである。また、一般道路に救急車やパトカーが来た時は、信号を無視してよく、他の車は譲らねばならない。

ネットワークの場合はどうなるか。特定のパケットだけが通る回線を用意するのだろうか。専用線というのはもっとも有効にトラフィックの帯域を保証する方法であるが、あまりに高価でムダも多い。一般的にQOSといえば、論理的な制御をおこなうことを言う。

QOSでの優先の仕方というのは、「破棄しない」ということになる。何か積極的にするのではなく、破棄しないという、消極的な措置をおこなうのみである。優先度の低いパケットは、一定の基準を超えたら容赦なく破棄する。だから当然、通信量が少なければQOSは働かず、高優先のパケットも低優先のパケットも同じように転送される。
MPLSの効用は、消極的なものである。
考えてみると、ルーティングも消極的な技術である。パケットのディスティネーションを見て、その宛先を判別してそこへ向けて転送するのではない。ルーティングテーブルに書かれているのはnext hopでしかない。要するにたらいまわしである。

ここまで考えてきて、もしかしたら科学技術というのはみんな、このような消去法によるのではないだろうか。ある理念を目指して積極的に進めていく、というのは科学技術にはないのではないだろうか。