OSPFのstubとnssa

stubエリアとは何か。

stubとは切り株という意味であるが、切り株というより、「袋小路」という感じである。

つまり、その先には何もない。だから、そのエリアから見れば、エリアからの出口さえわかればよい。

逆に、そのエリアを外から見る人にとっては、いちいち詳細な経路情報を伝える必要はなく、
全部エリアの出口を通ってもらうように伝えればよい。



イメージとしてはそういうことで、難しいことはない。


だが、スタブエリアにはいくつか種類がある。


1.スタブエリア
2.完全集約スタブエリア(totally stub area)
3.nssa(not so stubby area)
4.完全集約nssa


スタブエリアにするには、

area 1 stub

とする。

完全集約スタブエリアにするには、

area 1 stub no-summary

とする。

「完全集約」なら、area 1 stub summary ではないか、と、素直で合理的に考える人なら思うはずだ。

だが、この「完全集約」の「集約」は、area 1 stub no-summaryの「summary」のことではない。

このno-summaryというのは、LSA type3の、「Network summary LSA」をABRがフラッディングしない、という意味である。

no-summaryを指定することによってスタブエリアにはデフォルトルート以外のバックボーンエリアの経路情報が来なくなる。つまり、デフォルトルート一本に完全に集約される、ということである。


そもそも、LSAで使われている「summary」という言葉は、集約経路情報のことではないのである。

そこが紛らわしいのだ。




そして、nssaであるが、「それほどstubっぽくない」という意味である。


それは、外部経路だけはアドバタイズするからである。
外部経路というのはつまり異なるルーティングプロトコルから再配布された経路のことである。



(OSPF area0) - ABR - (OSPF area1) ASBR - (EIGRP)
での実例。


普通のエリア

O E2    172.16.1.0 [110/20] via 10.2.0.2, 00:00:45, GigabitEthernet1/0

#ASBR
O IA    10.1.0.0/29 [110/2] via 10.2.0.1, 00:00:29, GigabitEthernet1/0
ABRは、ASBRからEIGRPの経路(E2)をもらっている。
OSPFルータからは、外部経路ということしかわからない。
ASBRは、OSPF area 0からの経路「IA」をもらっている。


stubにした後
O IA 10.1.0.0/29 [110/2] via 10.2.0.1, 00:00:03, GigabitEthernet1/0
O*IA 0.0.0.0/0 [110/2] via 10.2.0.1, 00:00:03, GigabitEthernet1/0
stubにすると、OSPFルータはASBRからの外部経路を受信しなくなる。
ASBRは、OSPFルータからデフォルトルートをもらうようになる。


totally stub

<ABR>

#ASBR

O*IA 0.0.0.0/0 [110/2] via 10.2.0.1, 00:00:10, GigabitEthernet1/0
totally stubにすると、ASBRはOSPFルータからIA経路をもらわなくなる。



nssa

#ABR

O N2    172.16.1.0 [110/20] via 10.2.0.2, 00:00:03, GigabitEthernet1/0
#ASBR O IA    10.1.0.0/29 [110/2] via 10.2.0.1, 00:00:03, GigabitEthernet1/0
nssaにすると、ABRはN2という種別でASBRから外部経路をもらう。
ASBRにはデフォルトルートが・・・・こない。

nssaのときはstubと違ってデフォルトルートがこない。

ciscoのサイトには、nssaのときはdefault information originateを使え、
と書いてある。




nssa no-summary
#ABR O N2    172.16.1.0 [110/20] via 10.2.0.2, 00:00:09, GigabitEthernet1/0
#ASBR O*IA 0.0.0.0/0 [110/2] via 10.2.0.1, 00:00:22, GigabitEthernet1/0
no-summaryの場合はデフォルトルートが来た。



stubエリアの動作については、in/out両方についてどうなるかを知っておかないといけない。


「フラッディングする・しない」「来る・こない」と書いたが、
出さなくなるのか、出すけど受け取らないのかは、確認してない。