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2024/11/27

ベースクリッパとピーククリッパの構成と波形の見分け方

工事担任者第2級デジタル通信を受けてみようと思っている。

テキストを読んでいると、ダイオードを使用した波形整形回路というものがでてきた。特定の基準電圧以上または以下の部分を取り出したり取り除いたりするクリッパというものがあり、基準電圧以上を取り出すのをベースクリッパ、基準電圧以下を取り出すのをピーククリッパ(リミッタ)という。

テキストにはクリッパ回路の出力電圧の波形から、どの構成かを識別する問題があった。

わからなかったので、テキストの説明を読み返したが何度読んでもしっくりこない。部分的に理解できても、どういうときにダイオードが導通状態となるのか、導通するしないによって出力電圧がどうなるのか、ということの法則性のようなものがつかめない。

わからないのでネットで検索してみると、工事担任者試験ではないが、平成30年の電検三種の理論の試験第13問についての説明をしている人が何人もいる。

よく出る問題なのか、難問なのか.....


それらの説明、ブログやyoutubeの動画をいろいろ見て、ようやく理解することができた。

(細かいところで怪しい部分はあるが.....)


そして、一通り理解してみると、ある構成を一つ覚えれば、他の構成が容易に導けると思い、まとめてみた。


1.クリッパにはベースクリッパ(BCとする)とピーククリッパ(PCとする)の2種類ある

2.それぞれの構成において並列形と直列形がある

3.さらに、すべての構成において基準電圧が+の場合とー(マイナス)の場合がある


というわけで8通りの構成がある。

波形については、

1.BCはベース(土台)をクリップ(切り取る)→基準電圧以下を取り除く

2.PCはピーク(山)をクリップ(切り取る)→基準電圧以上を取り除く

3.基準電圧がマイナスの場合は、以下・以上が逆になる。


BCの直列、基準電圧がプラスの場合を覚える。

上下に2本の線があり、上の線上にダイオードがあるのが直列、上下の線を結ぶ線上にダイオードがあるのが並列。直列の場合、抵抗が上下を結ぶ線上にあり、並列の場合上の線上にある。そして、上下の線の下方に上側がプラスの電源がある。

BCの直列形の場合、ダイオードは右向き(カソードが出力側)


ベースクリッパ、直列形、基準電圧はプラス


波形は、ベースクリッパなので土台部分が取り除かれる。上側の山が残り、その下が消えて上側の山以外は基準電圧値の直線になる。

ベースクリッパの波形(基準電圧はプラス)


並列回路は、以下で求められる。
1.直列回路の抵抗とダイオードの位置を入れ替える
2.ダイオードは右(出力側)を向いていたら(右側がカソードなら)、上向き、左を向いていたら下向きにする
3.電源の+-は同じ
ベースクリッパ、並列形


波形は直列も並列も同じ。


今度は、BCの直列型をPCに変更する。この場合はダイオードの向きを逆にすればよい。

ピーククリッパ、直列形

BCと同じようにして並列を求める。
ダイオードと抵抗の位置を逆にし、ダイオードは直列形で左向きなので下向きにする。

ピーククリッパ、並列形

波形はピークをクリップするので、山が取り除かれる。取り除いたところは基準電圧の値の直線になる。

ピーククリッパの波形(基準電圧はプラス)



基準電圧がマイナスの場合は、構成ではダイオードの向きと電源の向きを逆にする。

波形は、横軸と入力波形の交点を基準とした点対称の形となる。


BCの直列形(基準電圧はプラス)

BCの直列形(基準電圧はマイナス


BCの並列形(基準電圧はプラス)

BCの並列形(基準電圧はマイナス


BCの出力波形(基準電圧はプラス)

BCの出力波形(基準電圧はマイナス



PCの直列形(基準電圧はプラス)

PCの直列形(基準電圧はマイナス



PCの並列形(基準電圧はプラス)

PCの並列形(基準電圧はマイナス

PCの出力波形(基準電圧はプラス)

PCの出力波形(基準電圧はマイナス



これはど素人ならではなのだろうが、
クリッパ回路の「入力電圧は交流」である、ということに気づくのに時間がかかった。
波形が正弦波なんだからそんなの当たり前だろ、ということなのだろうが。

あと、以下のような疑問も持った。

「ダイオードが導通状態になったとき、入力電圧に基準電圧が足されて出力されないのか?

「交流電圧はプラスになったりマイナスになったりするが、基準電圧による電流とぶつかるようなことにならないのか?」

「抵抗は何のためにあるのか?抵抗がなかったらどうなるのか?」

あと、入力電源が図から省略されているので、出力側も同様に省略されていて導通しているのかと思ったり。