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2024/11/19

抵抗の並列接続について

オームの法則というものを中学生で習う。

そして、抵抗の直列接続と並列接続というのを習う。

直列接続時は抵抗値は単純に足せばよいが、並列接続の場合は、

1/R = 1/R1 + 1/R2 

となる、という風にならう。ネットで「抵抗 並列」と検索するとこの式がたくさん出てくる。youtubeでも、動画がたくさん出てくる。

それを見て、そういえばそんなこと習ったな、とは思うのだが、並列接続時にどうしてそんな風になるのかな、というのを疑問に感じた。

感覚的に把握しにくいというか。もっというと、「本当にそうなのか?」という感じ。納得できないというか、腹落ちしないというか。

工事担任者試験(デジタル2級から)を受けてみようかなと思い、テキストを読んでいたら出てきて、ん?となった。

最近、簡単な電子工作をやっている。ラジオを作ったり、ラズパイやarduinoでLチカみたいなことをやってみたり。その時に「抵抗」というものは当たり前のように出てくるが、自分で抵抗値を計算することはない。


抵抗とは何か?

テキストには、「抵抗とは自由電子が導体の分子から受ける摩擦抵抗である」と書いてあった。

抵抗というのは日常的に使う言葉、概念で、人間が何かをするときに妨げとなるもの、という意味で使う。

それで考えると、直列の抵抗というのは、ある人が旅行に行こうと思ったがAさんに反対され、Aさんを説得したら今度はBさんに反対されてBさんも説得した。その時に労力を費やす必要になった抗う力になる。これは(Aさんの抵抗値)+(Bさんの抵抗値)でよいだろう。

並列の抵抗は、AさんとBさんを同時に説得する場合だ。この場合も抵抗値は直列と同じように2人の抵抗値の合計になりそうなものだが、電気回路ではそうならない。


電気回路の場合、電圧と電流を考える。

オームの法則は E=IR であると習う。

それは、R=E/I、I=E/R とも言える。

しかし、このE(電圧)、I(電流)、R(抵抗)の三者は、数式の文字のように本当に交換可能なものなのだろうか?

三者について、どんなものかのイメージは湧く。電圧は電気の強さのようなもの、電流は流れる電気の量、抵抗は電流に逆らう強さ。

E=IR であるなら、流れる電流と抵抗があったときに、そこから電圧が生成されるのか?

そうではなく、電圧があるから電流が発生し、抵抗があるからその電流の量がそれに応じて変化するのだ。

R=E/I を考えるときにも、電圧の値と電流の値があり、そこから抵抗が形成されるのではなく、抵抗が初めに存在していて、そこに電圧がかかるから抵抗に応じた電流が発生し、電圧と電流の値がわかれば抵抗値がわかる、ということである。

抵抗を2つ並列に接続した場合、回路は2つに分岐する。このとき、電流の総和は分岐した2つの回路にながれる電流の和となる。

2つの抵抗の値が同じであれば電流は全体の半分ずつとなる。

では、電圧はどうか?2つの抵抗値が同じであれば、電圧も半分ずつになるのか?

結論はわかっていて、2つの抵抗にかかる電圧は等しいがその電圧は全体にかかる電圧と等しい。つまり、10Vの電圧をかけるとR1にもR2にも10Vの電圧がかかる。

直列の場合は、2つの抵抗値にかかる電圧は等しくない。


ここまで考えてくると、「電圧」「電流」「抵抗」というものが、単純な「電気の強さ」「電気の量」「電気に逆らう力の強さ」みたいには置き換えられないことがわかる。

もし電圧が単なる「強さ」であるなら、並行に存在している抵抗に対して同じ強さでかかることはありえない。半分ずつになるはずだ。

そして、この「並列抵抗には同じ強さの電圧がかかる」ということから、抵抗値が求められる。というか、このことが前提されないと抵抗値が、電流値が求められない。

10Ωの抵抗が二つ並列に存在する回路に10Vの電圧をかける。

I1=10(V)/10(Ω) = 1(A)
I2=10(V)/10(Ω) = 1(A)

電流を合計すると2Aである。

ということは、抵抗の合計は R=10(V)/2(A)=5となる。

1/R=1/R1+1/R2 を計算すると

1/R = 1/10 + 1/10 
=2/10=1/5

1/R=1/5

R=5 
となる。


I=E/R
I1=E/R1
I2=E/R2

I=I1+I2

E/R=E/R1+E/R2
両辺をEで割って
1/R=1/R1+1/R2


ここまで考えて計算してみて、ようやく「1/R=1/R1+1/R2」が腹に落ちる。

つまり、抵抗が並列にされたときにどれだけの電流が流れるか、回路全体の抵抗の和はどうなるか、というのは、「抵抗が並列に接続されたときにそれぞれの抵抗にかかる電圧はどうなるか」ということを言っているのである。

そして、二つの抵抗にかかる電圧から電流値を求め、その二つの電流値を足して、
その和をオームの法則にあてはめて全体の抵抗値を出しているのである。



・・・

でも、同じ電圧をかけて、2つの同じ抵抗値がその回路に存在しているのは同じなのに、流れる電流の量が変わるというのはやっぱり受け入れがたい・・・・。

(参考)