これはかなり恥ずかしい思い出であるが・・・
社会人になって2,3年たって、金がなくて困っていたときの話。
JCBとかUCとかのクレジットカードの枠も使い切ってしまい、どうしようもなくなっていたとき、スポーツ新聞の広告で、文句はわすれたが、限度いっちゃった人にもお金貸します、みたいなのを見つけて電話した。
そして、電話口で、今借りてる融資先と金額を教えてくれと言われて全部正直に話し、審査して折り返し電話しますといわれ、審査を待つ。
しばらくして電話がかかってきて、カネを貸すことはできないがパソコンをローンで買う契約をしてもらえばそれを現金で買い取る、ということを言われた。
そして店と商品名まで指定された。ソなんとかで、N○○のNSRとかいうのを買えば、10万で買い取るというのである。
わたしはソなんとかへ行って、指定されたNSRとかいうPCを見つけた。そして店員にこれください、と言った。店員はちょっとびっくりしたが、「21万8000円になります」ときっぱりと言った。この価格は今でもはっきり覚えている。
そしてわたしは買取屋に指示されたとおりに「ローンにしてください」と言って、かなり長いローンにした。10回以上だったのは間違いない。
そしてそのノートPCを持って、指定された受け渡し場所へ行った。
しばらくして、わたしより少し若いぐらいの、ちょっと無精ひげのある男がやってきて、新品のパソコンと引き換えにわたしは10万円を手にした。その男は今にして思えば、か『馬鹿だなこいつ』という顔をしていた。わたしは10万円を手にいれて、その後何をしたのか、覚えていない。
似たようなことがもうひとつある。それもこの頃だったと思うが、この前か後かは覚えていない。
同じような状況になってやはりスポーツ新聞の広告を見て電話したら、新宿にあるビルの一室に呼ばれた。
そしてそこでやはり融資状況をあらいざらい打ち明けると、やはりローンで買い物をするように指示された。
しかしこのときは1品を買ってそれを現金と引き換えるのではなく、引き落とし日までに先方から振り込むということであった。
さすがのわたしもこれは危険すぎると思い、「こんなことをいっては失礼かもしれませんが」と前置きをして、「もし振り込まれなかったとしてもわたしは文句を言うことができないですからこれは受け入れられません」と丁重に断ってその場を去った。
そのとき相手は「振り込まないなんてそんなことはありませんよ」と静かに対応していたが、その冷静さが逆にあやしかった。
パソコンとはもうまったく関係ない話になってしまったがついでなのでもうひとつ。
東スポの広告。社名もはっきり覚えている。勤め人に最適な副業、月収15万も可能などとある。宅配のレンタルビデオ業で、50万円でビデオ50本を仕入れて、それをレンタルする。
50万はローンで払う。ビデオは剥がしたらわかるようになっているシールで封をされ、見た分だけの料金を払う。1本500円。5本のテープを箱に入れて配る。
まずは顧客獲得から始まる。近所にチラシを配る。当然そこには自分の連絡先も記している。1000枚だったかな。そのチラシも買い取るのである。自転車に乗って自宅周辺のアパートなど、単身者のいそうなところに投函する。
結局、会員となったのは一人であった。5本を全部見て2500円、それが毎週でも1万円にしかならない。大赤字である。
そもそも、大事な商品であるビデオが非常に粗悪品であった。何本か見てみたが、レンタルもしてないような、ホテルで流されているような最低の品質である。女優も無名のものばかり。あ、申し遅れましたが当然アダルトビデオです。
そしてその大切なたった一人の会員様も、せいぜい1、2本しか見ない。しかも回収に行っても留守なことが多くて、ぜんぜんペイしない。
最終的には会員がやめたかわたしが廃業したかは忘れたが、50万がほぼ全額「授業料」として借金になった。
これまた副業という広告が出ていて、説明会に行ってみたら、30万円の布団を買い、同じものを5人に買うようにすすめ、もし買えばいくらかがバックされ、さらにその紹介者が紹介した人も買えば・・・・といういわゆるマルチ商法だったことがある。
わたしはその仕組みを聞いて、別に矛盾を見つけたりマルチだから違法だとかは思わなかったが、もしそんなことが可能なら別に布団なんか買わなくても上納金だけを納めればすむじゃないか・・・などと思って、その場から去った。
後から自宅に電話がかかってきて念をおされたが断ると、「そうですか、では地道に稼いでください」とイヤミを言われた。